地元選出国会議員に対する損害賠償訴状の解説

 

2007.1.23

 

生 田 暉 雄

 

第1、請求の趣旨

 

 1、改正教育基本法の違憲確認

 

   日本国憲法上の違憲立法審査権は、

     具体的な訴訟を前提とする司法裁判型か、

     抽象的な違憲を判断できる憲法裁判所型か

 

 2、各国憲法

 

   アメリカ:イギリスから独立し、憲法体制と安保体制のような矛盾がなく、憲法と立法との矛盾ナシ。

         司法裁判型

 

   ドイツ:@ 規定上、92条裁判機関、93条連邦憲法裁判所の管轄権

         A ワイマール憲法(ナチドイツの台頭)の反省

 

  ⑶ フランス:@ 規定上、第7章 憲法院(56条〜63条)

              第8章 司法機関(64条〜68条の3)

 

⑷ イタリア:@ 規定上、第6章第1節 憲法院

 

⑸ 大韓民国:@ 規定上、第5章 法院、第6章 憲法裁判所

 

以上のとおり、憲法裁判型の各国は、憲法規定上も憲法裁判型が明らかである。

 

 日本:@ 規定上、6章 司法(76条〜82条)、10章 最高法規(97条〜99条、最高法規98条)

     A ドイツと同様、日本でも憲法裁判所型の必要性有り。

     B 明治憲法発布から日清戦争頃までは統帥権の独立を説く学説はなく、日露戦争以後ほとんどの憲法学者が統帥権独立論をとり、穂積八束のみが否定説をとった(「昭和戦前記の日本」伊藤・百瀬著、吉川弘文館)。

統帥権の独立が明治憲法秩序を破壊し、戦争に突入していく。

この統帥権独立の横暴と明治憲法との関係は、昭和天皇の戦争責任を不問にするため一切研究が無い。

統帥権独立による明治憲法秩序の破壊の反省からすれば、ワイマールの反省のドイツと同じく憲法裁判所型でなければならない。

       C このように、現行憲法の「最高法規」は弱さをかかえている。

 

 

第2、改正教育基本法の違憲性

 

改正前の教育基本法が、教育勅語(子供、親、市民に対する命令規範)を反省して権力拘束規範とした。

改正された教育基本法は再び、子供、親、市民に対する命令規範となった。この点が180度の転換であり、憲法違反の最たるものである。

多くの違憲論の中で、中川明(岩波)の説を採用した。

 

 

第3、世論誘導

 

 1、やらせによる違法なタウンミーティング、外に改正教基法との関連では、未履修問題、いじめ問題があるが、政府、公務員が懲罰を受け、責任をとらされたやらせによる違法なタウンミーティングに絞るのが妥当と考える。

 

 

第4、違憲立法審査権

 

 1、憲法裁判型でなければならない。

既判決の論破をどのようにしてするか。

 

 2、警察予備隊違憲訴訟を直接裁判所に申し立てる愚。

 

  @ 裁判所は司法裁判型だというに決まっている(憲法裁判型では事件が増える)。

  A 裁判官の戦争責任が問われず、裁判官は政府追認である。

B 逆ユース(占領軍の態度)時代。

  C 憲法体制と安保体制の矛盾。

D 国会決議で憲法98条は憲法裁判所型であることを決議する必要あり。

  E 統帥権の独立の横暴と明治憲法との関係について、国民が深く考えていれば、現行憲法は、憲法裁判所型になっていたはずである。

統帥権の独立の横暴を阻止しきれなかったとしても、根強く何らかの形で闘争する国民性の欠如が、戦後に至っても欠陥を露呈している。

  F 統帥権の独立の横暴を暴く視点が欠如しているため、天皇の戦争責任を追及しない、占領軍、政府の思い通りの国民の抵抗を弱くする戦後体制になっていった。

  G その反省からも教基法が改正されても、本件のような闘争を簡単にあきらめてはならない。

 

 

第5、被告らの不法行為 被告らの憲法擁護義務

 

 1、国会議員等の憲法擁護義務(99条)の解説は注解日本国憲法(有斐閣)によった。

憲法の解説書で「10章 最高法規」がいずれも最も弱い。

特に擁護義務は、「人権宣言」「名誉革命」「独立宣言」等の借り物であり、自前のものでなく、遠い昔のもので、極めてインパクトが弱い。

しかし、明治憲法の統帥権の独立の横暴と、明治憲法秩序の相克、葛藤を根拠とすれば、迫力ある自前の憲法擁護義務を論じることができるはずである。

しかし、これを強調すると天皇の戦争責任に至る。

さらには、憲法体制と矛盾する安保体制があり、その矛盾の解決に困る。

天皇の戦争責任の放棄は占領軍の超法規的措置として、憲法擁護義務の理論の深めが、改憲問題が続出するであろう今後にとっても大切である。

いずれにしても、戦前の粘り強い闘争、戦後の粘り強い闘争の欠如が、憲法擁護義務を底の浅いものにしている。日本人の淡白さの欠点である。

本件の闘争が、今後の参考になるように本件の闘争を深めるべきであると思われる。

 

 2、憲法を改正せずに、あからさまに違憲と知りながら、あえて違憲の法律を制定することは、憲法改正とは次元を異にする憲法の破壊である。

 

以上

 

 

 

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