平成18年(ワ)第20396号 安倍晋三等に対する損害賠償請求事件

第一回口頭弁論関連書面へ (原告らの意見陳述書です)

訴状の補正と準備書面(5)  (驚き!安倍の悪事の数々)

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訴    状

 

               原 告  選定当事者  7名

              原 告(訴訟当事者選定者) 193名

別紙選定者目録のとおり

100-8910 東京都千代田区永田町1−11−23

被 告   自  由  民  主  党
総 裁   小  泉  純  一  郎
 

750-0009 山口県下関市上田中町2−16−11

被 告   安  倍  晋  三

 

安倍晋三等に対する損害賠償請求事件

  

訴訟物の価額   金 1,579,000円

貼用印紙額    金    13,000円

 

請求の趣旨 

1.被告らは、各別に原告及び別紙選定者それぞれに対し、金1000円および、2005年8月12日より完済までの間、年5分の割合による金員を支払え。 

2.被告らは、原告に対し、別紙1記載のとおりの謝罪広告を韓国の日刊紙に別紙2記載の条件で各1回掲載せよ。 

3.被告らは、原告に対し、別紙1記載のとおりの謝罪広告を産経新聞の日刊紙に、別紙3記載の条件で各1回掲載せよ。

4.訴訟費用は被告らの負担とする。 

との判決を求める。

請求の原因  

第一 本件訴訟提起の目的とその背景 

1.国家が教育を支配し、侵略戦争に国民を動員したとの反省から戦後教育ははじまった 

 あの忌まわしい侵略戦争の反省から、日本国憲法の前文において「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」した。

これを受け、教育基本法の前文において、「日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」と明記し、現憲法下の重要な基本法としてこの法律を制定した。

それは、明治以来1945年の敗戦まで、完全に天皇大権が教育を掌握し、国民は、天皇の臣民として、天皇のために命を捧げる教育が、国定教科書を通して子どもたちに注入され、侵略戦争に国民を駆り立てたとの反省からである。

こうして、教育基本法10条において、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきものである」と定め、教育の主権者を「国民」とし、国家(地方公共団体を含む、以下同じ)の不当な介入を排除した。 

2.国家・政党・官僚等は、教育に介入してはならない

 教育基本法成立直後に、その立案の任にあたった当事者たちが書き、立法者意思を明かにした解説書(文部省教育法令研究会著『教育基本法の解説』194712月発行、以下『教育基本法の解説』という。)は、同10条についての記述の中で、戦前教育の精神及び制度について次のように述べている。 

 戦前教育は「教育行政が教育内容の面にまで立ち入った干渉をなすことを可能にし、遂に時代の政治力に屈して、極端な国家主義的又は国家主義的イデオロギーによる教育・思想・学問の統制さえ容易に行なわれるに至らしめた制度であった。」(『教育基本法の解説』126〜127頁) 

 これが同10条を制定した理由であるが、さらに『教育基本法の解説』は、「教育に侵入してならない現実的な力として、政党のほかに、官僚、組合等の、国民全体でない、一部の勢力が考えられる。」(同上『教育基本法の解説』130〜131頁)と、「不当な支配」の主体となりうるもの具体的に指摘している。  

3.国家・政党・官僚による教育への不当な介入の日常化 

ところが、このことが全く省みられず、無視され、国家・政党・官僚等による教育への介入(不当な支配)が行なわれてきた。それが、今日言われている教育の荒廃の主要な要因である。ところが自らのこの行為を棚に上げ、盗人猛々しく教育基本法にその原因を恣意的に押し付け、荒廃した教育を刷新するためには教育基本法を「改正」する必要があると声高に叫んでいる。その中心をなす主張の背景には、あのおぞましいナショナリズムが潜んでいる。それはかつて、アジアで2000万人以上にも及ぶ犠牲者を生み出し、日本国民310万人の犠牲者を出すに至った戦争に「国民」を動員して行ったそれである。 

4.被告自民党・被告安倍らのおぞましい目論見 

 いまその先頭に立っているのが、被告安倍晋三(現内閣官房長官・元自由民主党幹事長)を筆頭とする自由民主党(以下、自民党という。)国会議員ら及び「つくる会」並びに日本会議ら右翼団体らである。その目的は、明白である。彼らは、一言で言えば、「戦争ができる国家」を目指しているが、それを実現するには、「戦争」を是とする「国民」を生み出す「教育」が必要であるからだ。

この彼らの青写真の中に、「戦争」を肯定賛美する教科書、人権より国権を重んじる教科書である「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」という。)が主導した扶桑社版中学校教科書(以下、「つくる会」教科書という。)を公教育の場に持ち込むこと、そのために同教科書を検定に合格させること、全国各地で同教科書が採択させることであった。そして、教員と子どもたちにそれを押し付けようとした。このことが、被告らと「つくる会」や日本会議等右翼団体が手を結ぶ理由である。 

5.本件訴訟の意義 

いま日本は、再び「戦争ができる国」になろうとしている。いや、もうすでに片足を突っ込んでしまっている。本件原告らは、かつて国家が教育を支配し、侵略戦争に国民を駆り立てたその同じ過ちを繰り返させないために、ここに被告らの目論見を明らかにし、違法な政治介入を暴き、教育基本法「改正」、憲法「改正」が必要であると声高に叫ぶ被告らの真の目論見を白日の下に晒し、その企みを押し止めるための一つの行為として提訴することを決意した。このことが、かつての侵略戦争の反省の上に制定された現行憲法及び教育基本法の理想・精神を具現化する一つの行為に繋がり、またアジア地域の人々とつながり、東アジアの真の平和に向かう道の一つになると考えるからである。 

 

第二 請求を基礎づける事実 

1.当事者 

(1)原告

(ア)「つくる会」教科書が採択された杉並区 、東京都に居住する者であり、

(イ)「つくる会」教科書が採択された上記以外の地区に居住する者であり、

(ウ)上記以外の地区(日本)に居住する日本国籍を有する者であり、

(エ) 韓国に居住する韓国国籍を有する者である。 

(2)被告

(ア)被告安倍晋三は、自由民主党選出の衆議院議員であり、元自由民主党幹事長である。

(イ)被告は、自由民主党である。

 2.事実経過 

1杉並区 教育委員会が「つくる会」教科書を違法に採択するに至る背景

  杉並区教育委員会は、2005年度の教科書採択において、「つくる会」教科書(歴史)を採択した。この採択に至る背景は次のとおりである。

  (ア)東京都教育委員会の違法な採択

  石原慎太郎東京都知事(以下石原知事という)は1968年参議院全国区に出馬し、トップ当選を果たして以来、1969年に衆議院議員となり、1976年には福田赳夫内閣で環境庁長官、1987年には竹下登内閣で運輸大臣を務めた。この間に1973年には自民党内で中川一郎氏、渡辺美智雄氏、森善朗氏らタカ派の若手議員31名で「青嵐会」を結成し、石原氏はその幹事長となった。このように自由民主党の有力な国会議員であった。

 石原知事は都知事に就任した1999年に「心の東京革命」を提唱、2000年には「心の東京革命行動プラン」を作成し、「心の東京革命推進協議会(青少年育成協会)」を作った。ここで「戦前の教育への行き過ぎた反発」「社会的責任より個人の権利が優先するという風潮」「個人主義、平等主義のはき違えた認識による弊害」などを問題として挙げ、社会全体が道徳教育やしつけを積極的にやっていくことを呼びかけている。

 2001年には東京都教育委員会(以下都教委という)の「教育目標」の中から、憲法・教育基本法・子どもの権利条約に関する記述を削除、代わりに「我が国の歴史や文化の尊重」を加えた。これらは自由民主党の「教育基本法改正案」と同じ趣旨を持つものである。

 そして石原知事は、都教委の教育委員6名のうち5名の中に丸紅会長の鳥海巌氏、永世棋聖の米長邦雄氏を選任し、都職員から委員になった横山洋吉氏を教育長に抜擢した。米長邦雄氏は20041028日の秋の園遊会で、天皇に「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と話しかけ、天皇は「やはり、強制になるということではないことが望ましい」と述べたという人物であり、都教委の日の丸君が代強制の強力な推進者の一人である。

 200143日に文部科学省が「つくる会」教科書を検定に合格させると、石原知事は東京都の市区町村の教育委員を集めて、「採択は皆さんの責任で行ってほしい」と発言した。

 石原知事は憲法「改正」、教育基本法「改正」を掲げる右翼団体の中心的組織である「日本会議」の代表委員であり、1997年、「つくる会」の賛同メンバーになっている(19971.3付産経新聞)。石原知事は自分の個人的な思想によって、「心の東京革命」を実施し、「教育目標」を改定し、教育委員を選任した。さらにそれまでは現場の教員の意見を取り入れて行っていた教科書採択の場から、教員意見を追放、教育委員の権限で採択を行うよう指示したのである。これらは「つくる会」教科書採択シフトとも言うべきもので、同教科書の採択に有利になるように採択環境を整えたのである。これは明らかに教育への政治の不当な介入を禁じた教育基本法第10条に違反している。

 東京都教育長横山洋吉氏(当時)は、200128日、「教科書採択事務の改善について(通知)」を各区市町村教育委員会教育長宛に出した。これはその「通知」の中に書かれているように、都道府県教育長協議会における文科省の指導に基づいて出されたものであり、石原都知事の命を受けて行ったものである。そこには次のようなことが書かれている。

 *中学校社会科・歴史分野では「我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」など、新学習指導要領に示されている「目標」等を最もよく踏まえている教科書を選定する。

 *採択要綱・要領等の中に、事実上「教職員の投票によって採択教科書が決定される等、採択権者の責任が不明確になる」おそれのある規定は速やかに改定し、「採択手続きの適正化」をはかる。

 *採択すべき教科書の候補を一種、または数種に規定する、いわゆる「絞り込み」の規定があるときは、速やかにその規定を改正し、「採択手続きの適正化」をはかる。      

 東京都教育長横山洋吉氏(当時)は、2004614日に行われた「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」主催の「正しい歴史教育を子どもたちに!国会議員・地方議会合同シンポジウム」にパネリストとして参加した。このシンポジウムは地方議会議員に「つくる会」教科書の採択を実現させる様々なノウハウを伝授し、同教科書の採択を求めるためのものであった(証拠甲1号証 「教科書改善運動スケジュール」)。このシンポジウムには被告安倍晋三も来賓として参加した(詳細は後述)。

 都教委は200187日、病弱養護学校2校と青鳥養護学校梅が丘分室で「つくる会」教科書(歴史・公民)を違法に採択した。

 2004826日、2005年開校の都立中高一貫校1校で「つくる会」教科 書(歴史)を違法に採択した。

 2005728日、都立養護学校と都立中高一貫校4校で「つくる会」教科書(歴史・公民)を違法に採択した。

 2006727日、都立白鴎中学に「つくる会」教科書(公民)を違法に採択した。

  (イ)杉並区 教育委員会の違法な採択

  200011月、山田宏杉並区 長(以下山田区長という)は突然、任期満了の二人の教育委員と教育委員長を更迭した。任期満了の委員は、再任されるのが慣例であり、当然そうなるであろうと思われていた。にもかかわらず更迭したのは、彼らが山田区長の不当な教育への介入に物申していたことと、特に教科書採択に関しては「日常子どもたちと共に過ごしている、現場の教員の意見が尊重されるべきだ」と委員会で述べていたことが大きな原因であったと考えられる。

 教育委員の選任に当たっては、議会の各会派に意向を打診するのが慣例だったが、山田区長は、独断的、恣意的に候補者を決めた。一人目の候補者は佐藤欣子氏(弁護士)である。佐藤氏は松下政経塾で講師を務めたこともあり(区長証言)、産経新聞にも時々私見を書いていた「つくる会」の有力な賛同者の一人である。区民による猛烈な反対運動が展開され、区長は佐藤欣子氏を候補者として議会に提出できなかった。しかし次に区長は「つくる会」の支持者である大蔵雄之助氏と宮坂公夫氏を候補者として議会に提出し、区民の多くの反対を押し切って、また、区議会与党である公明党が採決の際退席する中、議会の同意を取り付け、両氏を教育委員とした。

 2001年の採択のための教育委員会では32でかろうじて「つくる会」教科書は採択されなかったが、その後、20036月に山田区長は教育長を、元区長室長であり懐刀である納冨善朗氏に入れ替え、区教委は20058月に「つくる会」教科書(歴史)を違法に採択した。そして杉並は全国583の採択地区の中で栃木県大田原市と共にたった2ヶ所、「つくる会」教科書を採択した不名誉な場所となった。

  (ウ)山田区長と「つくる会」の関係

  2005221杉並区セシオンホールで行われたCS放送「日本文化チャン
ネル桜」(以下「チャンネル桜」という)杉並支部発足記念講演会を、杉並区杉並区 教育委員会が後援し、山田区長自らもパネリストとして参加した。他のパネリストには、「つくる会」の有力なメンバーである渡部昇一氏(上智大学名誉教授)、クライン孝子氏(ノンフィクション作家)などが参加しており、「つくる会」が主張している歴史観を述べ、教科書採択にも言及していた。

杉並区 (教育委員会)後援等名義使用承認事務取扱要綱」には「事業活動が営利であること」となっており、株式会社である「チャンネル桜」の後援を行うことは、上記の要綱に違反している。それにもかかわらず「杉並区杉並区 教育委員会」の後援を強行したことからも、山田区長と「つくる会」が深い関係であることは明らかである。

 ホームページで靖国神社参拝などを呼びかけている「チャンネル桜」の創設提案賛同者は、「つくる会」の代表執筆者である藤岡信勝氏や「つくる会」の賛同者で構成されている。設立発起人には、「つくる会」元副会長であり、扶桑社版教科書(「つくる会」著)の元監修者であった高橋史朗氏(埼玉県教育委員)や杉並区 議会議員の松浦芳子氏が名前を連ねている

 松浦芳子区議は「日本会議」の東京都本部理事であり、「日本会議」の機関誌である「日本の息吹」の中で「杉並から日本を変える。歴史の教科書を変えたいから議員になった」と答えている。松浦芳子区議が議員に立候補した際、山田区長は推薦人として熱心に応援していた。さらに山田区長は「チャンネル桜」で月一回、番組を担当している。

 松浦芳子区議は著書で高橋史朗氏を尊敬すると書いているが、その高橋史朗氏は「すぎなみしあわせ文庫・ココロマメ」の編纂委員として杉並区に関わっている。

  (エ)山田区長の特殊な思想

 山田区長は2004年、2005年の成人式で、新成人を前にして二人の特攻隊員の手記を読みあげ、「あなたたちと同じ年齢の若者が戦争に尊い命をささげた、今の平和で繁栄した日本の礎となった人たちに感謝するように」と訓示した。若者たちは戦前の皇民化教育によって国のために命をささげたのであり、戦後、日本は皇民化教育を否定し、二度と繰り返してはいけないと反省して教育基本法を制定した。そのことを忘れ、新成人に特攻隊に感謝するようにと訓示するとは、戦後日本の反省をないがしろにした、戦前の皇民化教育への復帰に等しい行為である。

 2005522日、山田区長は「『日本海海戦』上映会」で講演した。「『日本海海戦』上映会」は、松浦芳子区議が代表や役員を務めている「はあもにい教育研究会」「杉並の教育を考える会」の主催である。この上映会の講演で山田区長は、日露戦争はロシアの脅威から日本の独立、朝鮮の独立を守るためのやむにやまれない戦争だったと、朝鮮の植民地化を正当化し、日韓併合は日本の安全と満州の権益を防衛するためだったと語った。これは「つくる会」歴史教科書と全く同じ歴史観である。さらに山田区長はここでもアジア・太平洋戦争を戦前使っていた「大東亜戦争」と言い換え、大東亜戦争も自衛戦争だったとくり返した。

  (オ)山田区長の人脈、石原知事との関係・区教委と都教委の関係

 20031023日、都教委は都立学校に向けていわゆる「10.23通達」を出した。その内容は入学式、卒業式等における日の丸の掲揚、君が代の斉唱、式の会場設営等について細部に渡り規定し、教職員を校長の職務命令によって従わせるというものであった。前年までは式の前に、憲法第19条に規定される「思想及び良心の自由」に基づき「内心の自由」について生徒、保護者に説明を行っていたが、その説明も禁止された。この「通達」は明らかに憲法第19条違反である。

 区教委はこの「10.23通達」を受け、区立学校に向けて区独自に同様の内容の通達を出した。このようなことを行ったのは都内で杉並区 ともうひとつの区だけである。このことで、都教委と区教委あるいは石原知事と山田区長のつながりが強いものであることが証明されている。

 また、20058月の杉並における「つくる会」教科書(歴史)採択にあたっても、区教委は(ア)で述べた都教委のやり方を踏襲し、採択に至る態勢作りをした。(詳細は準備書面で述べる)。

 20064月、山田区長は納冨善朗教育長の辞任に伴い、都教委から指導部長だった井出隆安氏を教育長に選任した。井出氏は都教委において扶桑社版(「つくる会」著)教科書に有利になるように恣意的な「学校用教科調査研究資料」を作成し各教育委員会に提示するなど、「つくる会」教科書採択の中心にいた人物である。なぜこのような人物を杉並区の教育長に選任したのか?杉並区 に対する都教委の露骨な介入である。

 2004125日、NPO法人「じゃんけんぽん」(法人日本児童文化教育研究所)の発足記念講演会が、都教委、区教委の後援を得て行われた。内容は高橋史朗氏による「家庭崩壊の処方箋『親学講座』」であり、山田区長も挨拶している。他に土屋たかゆき都議が挨拶している。土屋たかゆき都議は20066月、「新しい歴史教科書をつくる会」から八木秀次氏が袂を分って設置した、第二「つくる会」とも言うべき「日本教育再生機構」に発起人として参加している。土屋都議には石原知事が「今、国家と言うものを踏まえて政治、社会の現状を捉える人間が少ない中、土屋さんは国家、東京、民族に対する愛着があるからゆえ、危機感をストレートに出し行動している稀有な政治家であり、私は強い友情を感じ、一緒に仕事をしている」ということばを贈っている(土屋都議のHPより)。

 ところで、被告安倍晋三のブレーン「5人組」には八木秀次氏(高崎経済大学)、中西輝政氏(京都大学)が入っている。八木秀次氏は「つくる会」元会長であるが、「つくる会」と袂を分かつ、「日本教育再生機構」の準備室代表を務めている。同機構準備室は(1)伝統文化の継承と世界への発信(2)心を重視する道徳教育の充実(3)男女の違いを尊重し、家族を再興−など五つを基本方針に掲げている。中西輝政氏も最近まで「つくる会」の理事を務め、「日本再生機構」にも代表発起人として名まえを連ねている。同機構はすでに「安倍政権の教育再生政策に期待し、全面的に協力」する立場を表明している。(2006年9月8日付東京新聞)

 以上のように、山田区長は石原知事(都教委)とつながり、「つくる会」とつながり、「つくる会」は自民党幹事長(当時)である被告安倍晋三にと構造的につながっている。杉並区 における「つくる会」教科書(歴史)採択は、このような区長−都知事−自民党幹事長−自民党−「つくる会」−区長という円環あるいは交差する構造的なつながりによる政治の不当な介入によって行われた。  

(2)被告安倍晋三の「つくる会」教科書採択への違法な政治介入 

(ア)「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」事務局長として

故橋本龍太郎元首相・森喜朗元首相ら自民党幹部が多数参加し「歴史・検討委員会」が1993年に結成された。そして、1995年に同委員会が行った「大東亜戦争の総括」は、次の4点であった。 

@   大東亜戦争(アジア太平洋戦争)は侵略戦争ではなく、自存・自衛の戦争であり、アジア解放の戦争であった。

A   南京大虐殺、「慰安婦」などの加害はデッチあげであり、日本は戦争犯罪を犯していない。

B   最近の教科書は、ありもしない侵略や加害を書いているので、新たな「教科書のたたかい」が必要である。

C   @Aこのような歴史認識を国民の共通認識、常識にするために、学者を使って国民運動を展開する必要がある。 

この「歴史・検討委員会」のもう一つの役割は、奥野誠亮氏ら戦前・戦中世代の自民党の歴史改ざん主義及び、歪んだ歴史認識を次世代の若手議員たちに継承することであった。そこで結成(19972月)されたのが、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(後に「若手」を名称から削除する。以下、「議員の会」という。)である。
 先の「歴史・検討委員会」のこの「総括」を受ける形で1996年から、教科書の「従軍慰安婦」や南京大虐殺をはじめとした加害の記述を「反日的・自虐的・暗黒的」と誹謗し、「教科書から削除せよ」という「自由主義史観」研究会やその他の右派等による攻撃が行われた。その中心人物が、西尾幹二氏、藤岡信勝氏、高橋史朗氏、小林よしのり氏らであり、現行教科書を「自虐史観」と攻撃するだけでなく、自分たちで教科書を発行するとして、「つくる会」を結成(
19971月)した。

このように「議員の会」と「つくる会」は双子の兄弟(姉妹)として共通の目的のために結成され、共に行動してきた。結成当時被告安倍は、「議員の会」の事務局長であった。同会は、教科書検定において、「つくる会」教科書を検定に合格されるために他の自民党右派国会議員らと「つくる会」や日本会議ら右翼勢力とともに文部科学省に圧力を加え、従来ならば到底合格しなかったであろう「つくる会」教科書を検定に合格させた。さらには、同教科書の採択に有利になる採択環境を整えるために政治介入を行なった。被告安倍は、同会の事務局長として、それらの行為に深く関与してきた。

この間に日本社会の右傾化は急速に進み、被告安倍を筆頭とする自民党の右翼思想に染まった若手議員らを国政政治の中央表舞台に登場させ、そのことによって国政政治の場は、さらに右傾化を強めた。 

(イ)「議員の会」シンポに対する被告安倍幹事長「通達」

こうして、水を得た被告安倍は自民党の幹事長となり、「議員の会」による2004年6月14日の「国会議員・地方議員合同シンポジウム正しい歴史教育を子供たちに!」に向け「幹事長通達」を出し、「歴史教育は憲法改正、教育基本法改正と表裏一体」「参院選の争点ともなりうる」と強調、各県連に対し、「歴史教育問題の活動にふさわしい議員3人の教科書シンポジウムへの参加」を要請した。同シンポジウムの目的は、地方議会議員に「つくる会」教科書の採択を実現させる様々なノウハウを伝授し、同教科書の採択を求めるためのものである(証拠 甲1号証 国会議員・地方議員合同シンポジウム配布資料 「教科書改善運動スケジュール等」)。同シンポジウムにおいて被告安倍幹事長は、来賓として、「地方議会が地域の教育委員会をしっかりと見ていただきたい。我々はそうした環境をつくっていく大きな責任がある」と、出席している地方議員に檄を飛ばした(証拠 甲2号証「つくる会」機関誌『史』通巻45号21P 

(ウ)被告安倍幹事長の「つくる会」第七回定期総会への祝電メッセージ

 さらに被告安倍幹事長は、「つくる会」の第七回定期総会後の「『つくる会』前進のつどい」(2004年9月11日)に次のような祝電メッセージを送っていることが「つくる会」の機関誌である『史』(証拠 甲3号証 『史』通巻46号18P)に紹介してある。 

「『つくる会』前進のつどいのご盛会をお慶びし、ひごろより歴史教科書の改善のためにご尽力いただいている皆様に対しまして深甚なる敬意を表します。
 歴史教育は国家の将来の根幹にかかわる重要な課題です。その歴史教育に使用する教科書については、毅然たる検定作業と公正な採択がなされることが重要です。また、歴史教育の問題は憲法改正、教育基本法改正の問題と表裏一体の重要課題です。このような重大な国家的課題については、国、地方が一体的に取り組むことが必要でありますから、自由民主党として、青年局、女性局を中心に全国的な取り組みを強化していく所存です。
 ご参加の皆様におかれましては、ますますご健勝にてご活躍くださいますよう、心より祈念いたします。」
 

 (3)被告自民党の違法な政治介入等 

(ア)被告自民党の違法な政治介入

自民党は、2005年1月18日に開催した党大会において、この「つくる会」の主張と同じく「偏向教科書の是正」を重点課題に決め、全面的に「つくる会」に同調し、「つくる会」教科書の採択を全面的にバックアップする姿勢を鮮明にした(「つくる会FAX通信」第133号 2P)。 

(イ)「つくる会」とともに行動する「議員の会」総会に文科省官僚が参加

2005年度の教科書採択の手続きが各地の教育委員会ではじまるその時期に、「つくる会」とともに行動してきた「議員の会」は総会(2005年3月2日)を開き、文科省に対して「つくる会」教科書の採択に有利になる「教科書採択手続きの改善に関する提案」を提出。同総会には、何と文科省の教科書担当の官僚のトップである山中伸一審議官と片山純一教科書課長が参加し、同省の見解を明らかにする等(『産経新聞』2005年3月3日)政治家・官僚・「つくる会」の異常な癒着関係を露呈している。 

(4)「つくる会」教科書問題は、教育基本法「改正」・憲法「改正」と連動 

憲法「改正」、教育基本法「改正」を掲げ右翼団体の中心的組織である日本会議は、2004年2月から5月に緊急の全国キャラバンを行い、各都道府県への「教育基本法『改正』推進決議」の働きかけを強めた。被告自民党及び被告安倍幹事長(当時)は、こうした日本会議の要請に応え、2004年5月18日付で安倍晋三幹事長名による通達を出し、地方議会決議運動へのバックアップを表明、日本会議はこの通達を手形として自民党地方議員への働きかけを強めた。

このように、被告自民党及び被告安倍幹事長並びに被告安倍は、憲法「改正」、教育基本法「改正」等を掲げる「つくる会」や日本会議等右翼勢力と連携してその目的を達成しようとしている。その被告らの目的は、「戦争ができる国家」の実現であり、そのためには「戦争」を是とする「国民」を生み出す「教育」を必要としているのである。そのためには、教育基本法を「改正」する必要があり、憲法を「改正」する必要がある。またそのことを子どもたちに刷り込む、教え込むための教科書としての「つくる会」教科書を子どもたちに使用させる、学校現場に持ち込む必要があったのである。 

以上の経過及び背景があり、そのお膳立ての下において、区教委は、「つくる会」教科書(歴史)を違法に採択し、同教科書を子どもたちに押し付けたのである。 

3.被告らの違法行為 

 以上のような被告らの行為は、以下のような違憲・違法行為に該当する。

 (1)政党らによる違法な政治介入 

 事実経過(2)の(ア)(イ)(ウ)及び事実経過(3)の(ア)(イ)の各行為は、教育基本法10条が禁止している政党である被告自民党による不当な介入であり、事実経過(2)の(ア)(イ)(ウ)の行為は、自民党選出の衆議院議員であり、自民党幹事長(当時)であるというその地位を利用した被告安倍による不当な政治介入である。 

(2)「公正取引委員会告示第15号4」違反等 

教科書採択は、公共入札における落札行為に該当する。よって、事実経過(2)の(ウ)の行為は、「つくる会」は「つくる会」教科書の共同事業者であるから特定の商品(教科書)、特定の入札業者を優遇することになり、独占禁止法(公正取引委委員会告示第154)等違反である。

また、同時にこれらのことは、「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」2条5号・二「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること、その他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又示唆すること」等に当てはまる官製談合の違法行為である。これは1社の教科書会社を被告らが明確に営業支援したことになり、他の製品の官調達、工事発注では考えられない露骨な行為である。

さらに、議員という地位を利用した介入は、特定の物品を不正に入札させるための談合罪・幇助罪に該当することは言うまでもない。 

(3)「つくる会」教科書を子どもたちに使用させることの違法性 

 事実経過において被告らが「つくる会」教科書を杉並区 において、全国各地において採択され易い環境を整備したこと、また、採択に違法に介入してきたことを縷縷述べた。それらの強い影響を受けた結果、区教委は、先に述べたように「つくる会」教科書を採択し、同教科書の使用を子どもたちに押し付けた。そのことは、区教委が、以下のようなことを直接的に教員及び子どもたちに強いることになり違法であるが、被告らもそのことにおいて同罪である。 

(ア)「つくる会」教科書の記述内容の実態的違憲・違法性

「つくる会」教科書(歴史)は、以下のような特色を有している。 

@ 日本国憲法の諸理念を否定する思想、立場に基づいて、歴史が記述されている。(=記述された内容が、憲法の諸理念を否定する内容となっている。)

A 日本国憲法に対し、上記のような否定的立場をとる一方で、大日本帝国憲法や教育勅語を賛美している。

B ひとりひとりの人権や民主主義よりも、国権や国家を重んじる国家主義思想が歴史叙述の大前提として横たわっている。

C 民主主義の確立や人権の獲得に向けた人々の努力とその歴史を正確に伝えず、また、その意義を無視している。

D 天皇及び皇室を過剰に美化している。

E 戦争を賛美し、戦意高揚をはかる記述が目立つ。

F 自国の歴史を過度に美化する一方で、他国、他民族の立場を省みない、自国中心的姿勢で書かれている。

G 日本が行ったアジア・太平洋地域への侵略、加害の事実を隠蔽し、かつ、正当化している。

H 国家及び支配者中心の歴史記述で貫かれ、民衆、女性、社会的弱者の立場や営みについては、ほとんど書かれていない。

I 歴史事実の歪曲や、意図的な削除、あるいは初歩的な誤りが、非常に多くある。 

以上のような内容の教科書を「つくる会」が作成した目的は、日本の社会を人権よりも国権を重んじる社会に、日本の国家を「戦争をしない、できない国」から「戦争をする、できる国」に変えることにあり、同教科書を公教育の場に持ち込み子どもたちに使わせることを突破口として、前記の目的を達成しようとしたものである。
 このように、「つくる会」の目的は日本国憲法の理念に反し、同教科書の記述も日本国憲法を否定する内容となっていて、実態的違憲・違法性がある。
 

(イ)子どもに特定の価値・目的達成の道具としての教育の押し付けの違法性

しかも、そのような特定のイデオロギーを公教育の場に持ち込むことにおいても実態的違憲・違法性がある。公教育は、当然ながら、憲法及び教育基本法の理念に則って行われなければならない。ところが、上記した「つくる会」教科書(歴史)のような特色は、さらに下記の具体的記述内容は、憲法・教育基本法に違反するものである。
 従って、この教科書を公教育において使用させることは、教科書としての適切・不適切の判断を超えて、憲法・教育基本法そのものに違反することは明らかである。 

@ 憲法前文及び第9条違反、教育基本法前文及び同1条違反

   「つくる会」教科書(歴史)は、太平洋戦争を「自存自衛」のための戦争とし、「東南アジアやインドの人々に独立への夢と勇気を育んだ」と美化している。「日本の将兵は、敢闘精神を発揮してよく闘った」「困難の中、多くの国民はよく働き、よく闘った。それは戦争の勝利を願っての行動であった」と、戦争を肯定している。
 このように、戦争を肯定する内容の教育を施すことは、戦争放棄を宣言した憲法前文及び同9条、「平和と真理を希求する人間の育成」「平和的な国家及び社会の形成者」の育成を教育の目標とする教育基本法前文及び同1条に違反することは明らかである。 

A 憲法13条、26条、教基法前文及び同1条、子ども権利条約29条違反

「つくる会」教科書(歴史)におけるコラム「武士道と忠義の観念」や「教育勅語」の現代訳に端的に示されるように、同教科書は、「国家のために個人があり、国民は国家のために生命を投げ出して戦うべき」とする価値観を子どもに植えつけようとしている。
 こうした価値観を公教育を通じて子どもたちに植え付けようとすることは、個人の尊重を定めた憲法13条、「個人の尊厳」「人格の完成」を教育の目標とする教育基本法前文及び同1条に違反する。また、憲法26条に違反することは、以下の旭川学力テスト最高裁大法廷判決から明らかである。

「本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとして、党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきでない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されるし、殊に個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されないと解することができる。」

教育を一人ひとりの人間の自己形成を支え育むものであるとして捉えてゆこうとする立場は、子ども権利に関する条約29条もまた同じである。同29条は、教育の目的として、子どもが自己の「能力をその可能性な最大限度まで発達させる」ことや、「自由な社会における責任ある生活のために・・・・準備する」ことを権利として保障しているのであるから、このような子どもの教育の目的を定めた子ども権利条約29条にも反する。 

B 「つくる会」教科書の記述内容に間違いがある欠陥教科書

「つくる会」教科書(歴史)は、記述に多くの間違いがある欠陥教科書である。記述の間違に関しては、準備書面で述べるが、このような間違ったものを生徒に教えることは、以下の旭川学力テスト最高裁大法廷判決(昭和43(あ)1614)にあるように憲法26条、13条に反する。

「誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されないと解することができる。」

4.日本国籍を有する原告らの損害 

(1)教育の主権者は国民 

学力テスト裁判最高裁大法廷判決には、「教基法10条1項は、その文言からも明らかなように、教育が国民から信託されたものであり、したがって教育は、右の信託にこたえて国民全体に対して直接責任を負うように行なわれるべく」と述べている。また、教育基本法制定直後に、その立案の任にあたった当事者たちが書き、立法者意思を明らかにした『教育基本法の解説』においても「まず、第一に、教育は国民のものである。・・・・・・教育がその根源においては、国民から信託されたものであるからにほかならない」と述べている。このように、教育における主権者が国民にあることは明白である。つまり、国民であるところの原告らは、教育の主権者である。 

(2)国民の教育行政への発言権 

さらに、『教育基本法の解説』において、「教育行政に対する国民の発言権が広く認められなければならないのである」と教育行政に対する主権者であるところの国民に発言権を広く認める必要を述べている。つまり、地域住民である主権者であるところの原告らには、教育行政に対して発言権を有しているのである。 

(3)教育と地域社会の未来は、密接不可分の関係 

冒頭述べたように教育基本法その前文において、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」と表明した。また、『教育基本法の解説』において教育の役割を「政治は現実生活をいかにするかを問題とするのであるが、教育は現在より一歩先の未来に関係する。教育はあくまで未来を準備するのである。社会の未来に備えることが教育の現在なのである。」(129〜130P)と教育の役割を述べている。
その教育において学校教育の役割は大きく、その学校教育において教科書の使用を事実上義務付け、子どもたちに大きな影響を与えている。その子どもたちは、地域社会の構成員であり、その地域の時代を担う存在である。つまり、学校で使用する教科書は、地域社会の構成員であるところの原告らに直接的な影響を与える存在・関係にある。

(4)生徒が「つくる会」教科書(歴史)を使用させられることと原告らの損害 

(ア)「つくる会」教科書が使用されることによる原告らの損害

改めて述べるまでもなく教育の主権者は、国民であり、原告らは、その国民である。その主権は、憲法及び教育基本法に由来している。
 ところが、「つくる会」教科書(歴史)の記述内容は、日本国憲法の理念に反することを先に述べた。公教育は、当然ながら、憲法及び教育基本法の理念に則って行われなければならないが、その公教育の場で、憲法の理念に反する教科書が使用されることは、憲法が守られ、生かされる社会に住んでいることの安心感を著しく突き崩すものである。

この日本社会に住み、生きるところの原告らにとってこのことは、憲法で保障されているところの基本的人権 ―― 個人の尊重(憲法第13条)、思想及び良心の自由(憲法第19条)、平和的生存権(憲法前文及び第9条)―― が激しく脅かされているとの強い不安、恐怖感を引き起こし、耐え難い苦痛を被る。

また、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(憲法第12条)との、憲法が私たちに課している責任を、自らの生きる信念、使命とする原告らにとっては、この苦痛は、耐え難い。さらに、教育の主権者は、国民であるが、そのことがないがしろにされ、著しくその権利が侵害されることによる苦痛は、耐え難い。 

(イ) 「つくる会」教科書が使用させられる子どもらと同じ地域社会構成員 としての原告らの損害

教育と地域社会の未来は、密接不可分の関係にあることは先に述べたとおりである。
 地域構成員である子どもたちが、そのような教科書を使用することで憲法の理念に反する人間となることへの恐れ、その子どもたちがやがて地域社会を担って行くがゆえにその地域社会が憲法の理念に反する社会へと変わって行くことへの恐れ、それは、憲法が守られ、生かされる社会に住んでいることの安心感を著しく突き崩すものであり、原告等にとって到底耐え難い苦痛である。
 

(ウ)韓日・中日の友好の障害となる損害

また、これまで韓・日及び、中・日の友好を深めてきた原告ら及び、多くの韓国・中国・日本人らの努力と願いを打ち砕くことである。このことも原告らには耐えがたい苦痛である。さらに、韓国及び中国並びに日本、さらには、アジア地域の真の友好と平和にとって大きな障害となっている。それは、耐え難い苦痛である。

. 韓国籍原告らの損害 

(1)歴史を歪曲した教科書を使用されることから被る苦痛 

日本によって植民地支配された台湾・朝鮮、侵略された中国をはじめとするアジアの人々の被害・苦痛は筆舌に尽くし難い。「つくる会」教科書(歴史)は、それらの歴史的事実に向き合うことをせず、むしろ歪曲、隠蔽し、さらに日本の植民地支配や中国等への侵略を、美化、合理化している。
 このような教科書が日本の学校現場で使われ、日本と朝鮮、中国等をめぐる歴史として教えられることは、自分たちがまさに経験してきた歴史をそのように歪曲して書かれ、広められる韓国国籍及び中国国籍の原告らにとって、再び自分自身を侵され、蹂躙される苦しみを強いられることに他ならない。

他者によって理不尽な被害、苦しみを受けた者が、その深い傷を少しでも癒やすことができるか否かは、まずは、その被害を受けた当事者に対して、加害者がその事実を率直に認め、心から謝罪し、再び繰り返さないと約束するかどうかにかかっている。それは、傷が少しでも癒えていくことへの、まずは最低限の条件なのである。

加害者側がその事実を認めず、自らの行為を正当化し、賛美さえすることは、被害者の傷口をさらに広げ、さらに深くし、直接的、具体的な苦しみを強いるものである。さらに、日本が過去の加害行為を合理化することは、被害を受けた韓国国籍及び中国国籍の原告らにとって、日本が再び加害行為に及ぶのではないかという恐怖感をもたらすものである。

また、自分たちの苦難の経験や歴史を歪曲して書かれ、広められることは、書かれ、広められた側の名誉を傷つけるものである。

「つくる会」教科書(歴史)の採択と学校教育現場での使用は、以上のように、韓国国籍及び中国国籍の原告らに、きわめて具体的、直接的な精神的苦痛、精神的被害、損害をもたらし続けているのである。 

(2)皇民化教育を受けた韓国原告は、教育基本法10条の当事者 

大日本帝国憲法と教育勅語および軍人勅諭をその精神的な支柱としていた天皇制・軍国主義であった大日本帝国は、日本人のみならず植民地の台湾・朝鮮人まで「天皇の赤子」とし、皇民化政策に基き皇民化教育を実施した。その一環として、1937年10月に「皇国臣民の誓い」を制定した。

1.私共は、大日本帝国の臣民であります

2.私共は、心を合せて天皇陛下に忠義を尽します

3.私共は、忍苦鍛錬して立派な強い国民になります
これは小学生用であるが、中高校生や一般向けも内容は大同小異である。この誓詞は、学校はいうにおよばず、役所、会社、銀行、工場、商店、映画館など、およそ人の集まるところでは、あらゆる機会をとらえて、くりかえし朗唱させ、新聞・雑誌にもたえず掲載させた。さらに、こうした皇民化政策・皇民化教育の総仕上げに、朝鮮では一面(村)一神社設置を推進し、神社参拝や神道を強要した。これらの政策は、台湾・朝鮮人すらも全て侵略戦争に動員させるためのものであった。このような皇民化政策を徹底させる教育は、国家が教育を支配するところから可能ならしめたのである。
つまり、教育基本法10条1項が成立する経過と不可分の関係にある。つまり、「皇国臣民」になるように皇民化政策に基いて皇民化教育を強制された朝鮮人・台湾人にとっては、このことが不法に侵された、つまり、「日本国臣民」とされた台湾・朝鮮の人々にとっては、被告らの不当な政治介入は、極めて当事者性を帯びている。
 このことが不当に侵される、違法な行為によって踏みにじられることは、かつての自ら受けた耐え難い体験(創氏改名の強制・日本語の強制・神社参拝の強制などなど)が蘇り、未だに癒えぬ心の痛み・肉体に受けた傷を再び踏みにじられることになり、「心的外傷後ストレス障害」を引き起こすのである。あるいは、医学的、精神学的な「心的外傷後ストレス障害」とまでは認定されない人々においても、当然にかつての体験が蘇り、未だに癒えぬ心の痛み・肉体に受けた傷を再び踏みにじられることになるのである。

 それは、耐えがたい苦痛である。 

(3)ポツダム宣言および東京裁判判決そして、サンフランシスコ講和条約が戦後日本の法的根拠 

 未来への希望は、その東京裁判を東アジア共同体において再審することから生まれる。
 大日本帝国は、台湾・朝鮮を植民地支配し、中国をはじめ東南アジアにも出兵し、それらの地域の人々の命を奪い、物を略奪し、暮しを破壊し、言い知れぬ苦しみと被害を与えた。それはそれらの地域の人々の抵抗となり、連合国軍の活動とあいまって大日本帝国を敗戦に追い込み、ついにポツダム宣言を受諾させた。

 その後、ポツダム宣言の「日本国民を欺瞞し、之をして世界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は、永久に除去せられざるべからず。」の精神により、戦争責任を裁いた東京裁判が開かれる。東京裁判のマイナスの評価にある「勝者の裁き」という側面があることは否定できないが、重要なのは、東京裁判・東京宣言において、ドイツのニュルンベルク裁判と同じく、

 1.平和に対する罪

宣戦を布告せる又は布告せざる侵略戦争、若は国際法、条約、協定又は誓約に違反せる戦争の計画、準備、開始、又は遂行、若は右諸行為の何れかを達成する為の共通の計画又は共同謀議への参加。

 2.人道に対する罪

戦前又は戦時中為されたる殺人、殲滅、奴隷的虐使、強制的移送、其の他の非人道的行為、若は政治的又は人権的理由に基く迫害行為であつて犯行地の国内法違反たると否とを問はず、本裁判所の管轄に属する犯罪の遂行として又は之に関連して為されたるもの。

 3.通例の戦争犯罪

戦闘員、または非戦闘員が相手交戦国に対して行う違法行為。

の三点が裁かれたということである。 

日本は、その後のサンフランシスコ講和条約第11条において、上記の東京裁判の判決を受け入れた。戦後の法的な出発点は、まさにそこから始まるのである。(ただ、サンフランシスコ講和会議には中国・韓国・北朝鮮などは招かれず、また、ソ連などは条約に署名せず、西側主導の欠陥条約であることは明白である。そこの点が、本文で東京裁判の「再審」を求める理由の一つともなっている。)
 「つくる会」教科書(歴史)は、この点をふまえることなく、アジア・太平洋戦争が、自衛、そしてアジア解放の戦争の側面があったかのような記述となっており、これでは、戦後の日本国家の法的存立の根拠を否定することになってしまう。また、その記述内容では国際法規の無視ということになり、国際法的な戦争責任を反古にするものといえる。
 上記の点は、韓国原告にとっても、とうてい納得できるものではなく、耐え難い苦痛をあたえることとなる。
 日本政府は、再度、東京裁判の本旨を徹底し、原告・被害者の国々の人々、および、旧連合国の参加を求め、新しい東アジアの法的共同体の出発を促すために、東京裁判の東アジア版再審を呼びかけるべきである。そこで、すべての当事者が、平和と人道に対する罪を自覚することが重要となる。
 

 

結 語 

(1) 以上述べてきたように、区教委は、山田区長の違法な政治介入を受け入れ、結託して違法に「つくる会」教科書(歴史)を採択した。この採択の背景として、それをお膳立てしたのは、本件被告らである。つまり、被告らは、違法な政治介入を行い、「つくる会」教科書を検定に合格させ、同教科書の採択に有利な採択環境を整備した。これら被告らの違法な政治介入なしには、つまり、「つくる会」教科書の検定に合格、「つくる会」教科書に有利な採択環境の整備、政権政党であるところの自民党及びその中枢の被告らの同教科書の支援・支持表明等、それらのことがなければ、区教委による同教科書の採択は実現しなかった、それは事実上不可能であった。
 その結果、「つくる会」教科書が採択されたことで派生する、また、その過程で派生する先に述べた原告ら権利侵害、被る苦痛は、筆舌に尽くしがたい。
 

(2) 何よりも、被告らの行為は、日本国憲法、教育基本法により、日本国民に教育人格権ともいうべき教育に関連した厚い権利を保護し、これによって、アジア近隣を含む訴外国国民に対しても、その人権を保護しようとした崇高な日本国憲法、教育基本法の趣旨を全く理解せず、あえてこれを全く踏みにじるもの以外の何ものでもない。
 改めて、なぜ、憲法、教育基本法が日本国民に教育人格権を保護したいきさつを振り返ることとする。
 

 @ 戦後の教育改革と日本国憲法のねらい。 

太平洋戦争の敗戦は、教育面でも、それがわが国の新しい民主化の黎明となった。そうして日本国憲法が制定されて、その26条に、前の明治憲法にはなかった国民の「教育を受ける権利」が規定(保障)された。その結果、教育を受けることが国民の義務から権利とされ、その権利は、主権者たる国民の意思にもとづく「法」によって支えられるという建前が採られることとなった。そのような国民の権利としての教育の保障とその実現のための教育の法律主義の確立、そこに日本国憲法にもとづく教育体制の画期的意義が見出される。

戦後の教育改革は、かくして天皇主権から国民主権への憲法原理の転換を契機として、旧来の教育体制を根本的に批判することから出発した。教育勅語は、主権者たる国民の代表機関として国権の最高機関と呼称されるようになった国会において、あえて無効と宣言され、それとの訣別が告げられ、そうして日本国憲法のもとにおける国民の権利としての教育の確立のための新たな教育法制の創設が、それと並行して急がれた。その基本となる旧来の教育勅語に代わるものとして立法化されたのが、教育基本法(昭22法25)であった。その教育基本法が、戦後日本の新しい教育の理念とそのあり方教育行政などの を掲げるものとして、あえて国会において立法化されたのは、わが国のそうした歴史的事情にもとづくのであり、その趣旨は、一つは、それにより旧天皇制教学体制との制度的断絶を明確にするためであり、一つは、新しい国民の権利としての教育実現のための基本を政治権力と国民とにその行動規範として明示するためであった。 

 A 教育人格権 

  (ア) 人格権としての学習権 

日本国憲法は、明文をもって教育目的を規定していないが、戦前における教育の国家主義の目的を定めた教育勅語に代わるものとして制定された教育基本法準憲法的性格のものとも位置づけられる は、戦後教育の目的を「人格の完成をめざす」もの(1条)としている。すなわち教育の個人主義を採っている。従って戦後教育は、つねに一人ひとりの人間の個性的な自立(人格の完成)を目標として行わなければならないし、その中では、一人ひとりの発達に即した学習権、つまり教育に関する人権主体としての学習権が、いわば人格権として保障されなくてはならない。言い換えれば、国民の教育人権としての教育を受ける権利は、国民の一人ひとりを人権主体とし、みずからの意思に基づいて人間形成をする人格(形成)権としての学習権である、といえる。したがって、この人格(形成)権としての学習権は、その目的を達成するために必要とする教育内容や方法に関する教育要求権を含む。

つまり、教育行政が、このような国民の学習権を侵害するような教育内容や方法に関する施策を行うか、行う危険がある場合には、これを排除する権利としての保障もされなくてはならない。その意味では、国民の学習権は、教育内容に関する教育要求権を含むものと理解される必要がある。
 このような考え方は、すでに教育判例においても、1976(昭和51)年のいわゆる北海道学力テスト事件の最高裁判決においても認められている。すなわち「この規定(憲法26条)の背後には、国民各自が、一個の人間として、また一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、みずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在している」とされている。

そして、このような人格権としての学習権を現実に保障するのには、教育の内容や方法を国民自身が形成し、決定する国民の教育権と、それに対して国からは干渉ないし介入されない教育の自由を必要不可欠とする。すなわち、この人格権としての学習権は、未来の自立(人格の完成)をめざす人間の個性的な発達のための、いわば個人の人格形成の自由であり、それは人間の生来的な権利であり、いわゆる市民的権利あるいは市民的自由としての教育人権である。いわば自由権としての教育人権とも表現できる。そして、それは、憲法23条(学習の自由)と不可分一体のものとして保障されるものである。また、このような学習権が学校教育の場において保障される場合には、教師の教育の自由の保障が不可欠なものとして必要とされる。

そして、このような国民の、あるいは教師の教育の自由の法的根拠としては、@教育人権としての学習権を保障する憲法26条である、という理解のほかに、A憲法上に当然に保障されるべき「憲法的自由」(11条・13条)に属する、との理解、B“幸福追及の権利(13条)に含まれる、との理解、C“学問の自由(23条)に含まれる、との理解、またDいわゆるILOユネスコの「教員の地位に関する勧告」の特に61項が根拠となる。 

  ) 生存権としての教育要求権 

人間の教育に関する生来的権利を人権として、社会的に実現し、それを維持し継続させるためには、その社会的承認を含む人権保障の制度化が必要とされるが、つねに人権保障の制度化は人間の要求行動から出発するものである。人間としての要求をつくりだすものは、教育=学習である。したがって、教育人権は、人間が自立して生活する権利(生存権)の基礎をなすものである。つまり、それはあらゆる人権の基礎となる人権である。したがって教育人権が保障されるためには、憲法26条を法的根拠とする、いわば生存権としての教育要求権が承認され、かつ保障されなくてはならない。言い換えれば、それは教育人権の制度保障を実現するための人権であり、社会権としての教育人権ともいえる。

この教育要求権は、主として、国あるいは地方自治体に対する物的な教育条件整備に向けられる。例えば、就学から修学までに必要とする学用品費の無償、学児保育所や遊び場などの設置、教職員の増員、教科書の採択、教材の選択、学校図書館の整備充実などにも及ぶ。 

  ) 公民権・文化権としての主権的教育権 

さらに教育人権としては、日本国憲法の下で、よりよき次代の主権者となるための公民権・文化権などの主権者教育権を含めて理解される必要がある。教育基本法の前文は「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において、教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する‥‥」とし、1条の教育の目的にも「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として‥‥自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」と規定している。

これらの条規の決意は、戦後教育の目的が、単に国民一人ひとりの人格の完成にとどまらず、よりよき主権者として日本国憲法の理念とする「平和主義と民主主義」の国を維持し発展させる公的な国民としての資質(政治的教養)を備えた人格の完成を求めている、といえる。これが公民権・文化権としての教育人権である。 

() 以上のように、日本国民は、人格権としての学習権、生存権としての教育要求権、公民権・文化権としての主権者教育権を含む、教育人格権を有しているのである。 

(3)本件被告らの行為は、このような憲法・教育基本法に基づき、教育人格権を有する日本国民に対し、国会議員、公党の責任者としての立場から、教育基本法をさらに一段と高い権利を保障する法律に改正しようとするものでは無く、教育人格権を有する国民のその権利の侵害、剥奪をしようとする「つくる会」に与するものである。

  さらには、それによって、広くアジア諸外国民に対しては、自民族に対し、自尊心を踏みにじられる侵害を与えるものである。

  このような、被告らの「つくる会」に与する行為は、国会議員、公党の責任者として行うべき行為ではなく、被告らの行為が民法709条の重大な不法行為に該当することが明白である。

   よって、原告らは、被告らに対し、不法行為を理由として、請求の趣旨記載の本訴に及ぶ。

以上

2006年 9月14日

添付書類 

1、訴訟当事者選定書         通

2、証拠甲1号証〜3号証   各1通

3、訴状証拠説明書       1通

 

東  京  地  方   判  所  御 中

 

別紙1 謝罪広告及び謝罪文 

自由民主党及び私、安倍晋三は、自民党幹事長としての権力を不法に濫用し、日本を「戦争ができる国」にするために、「つくる会」教科書を検定に合格するように画策し、また、同教科書が杉並区 をはじめ日本全国において採択させるために画策し、そのことによって、同教科書を杉並区 教育委員会が採択するように画策しました。その結果、日本が韓国・中国をはじめとするアジア太平洋地域を侵略、植民地化した事実を隠蔽歪曲し正当化した扶桑社版中学校歴史教科書が、学校で使用されることになり、そのことによって韓国と中国(香港)の人々に対し再び深い傷を与え、大きな苦痛と悲しみを与えたことを、心より謝罪致します。 

今後は、日本の近現代史の中で日本国が他国に対して行った加害事実を直視し、国際協定とも言うべき憲法9条を遵守いたします。また、教育に対する不当な介入を行いません。さらには、韓国・中国(香港)をはじめとするアジア太平洋地域の人々との真の平和共存のために努力することを約束致します。 

小泉純一郎(自由民主党総裁)

安倍晋三(元自由民主党幹事長)

 

別紙2   掲載条件

 

(1)韓国掲載新聞 日刊主要2社 「ハンギョレ」「中央日報」

(2)掲載場所紙面第3面

(3)掲載費 各25万円に相当するスペース(白黒とする)

(4)見出し部分及び被告氏名、肩書は本文よりも大きな活字にすること

  

別紙3   掲載条件 

1)全国版に掲載すること 

2)掲載スペース 12cm×1段  660,000円 プラス消費税33,000

                        計 693,000

 3)見出し部分及び被告氏名、肩書は本文よりも大きな活字にすること


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